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国際保健の分野で、フィールドワーカー、研究者、国際看護教員の3つの力を兼ね備えた人材を育成します

青年海外協力隊など、海外での経験を修士論文としてまとめて、修士号を取得しませんか?
海外ワーカーの経験がない方へは、その扉を開くお手伝いします。
 
2022年国際協働論実習、2022年マニラ実習、2021年度修士修了生
の様子もご覧ください。こちらからどうぞ

フィールドワーカー

国際看護活動は、現地のヘルスワーカーや住民と協力して一緒に健康問題を解決するための方法を模索する一連の活動です。活動を成功させるには、社会情勢、国民性の異なる現地の人々と信頼関係を築き、円滑にものごとを運ぶコミュニケーション能力が不可欠です。フィールドワーク経験豊富な教員が指導します。
 

研究者

研究の基礎となる理論を学び、その知識と院生の興味をもとに、海外あるいは国内においてフィールドで調査を行い、その結果を修士論文あるいは博士論文としてまとめます。本学は、研究に優れた教授陣がそろっているだけでなく、国内随一を誇る看護学図書館と、外国人看護教員による英文添削体制が整っており、研究者としての第一歩を踏み出すのに最適な学習環境をお提供します。さらに、研究者には欠かせない、論文投稿、学会発表、助成金申請なども指導します。
 

国際看護教員

日本全国の看護大学が国際看護を講義や実習に取り入れています。しかし、国際看護を指導できる看護教員は多くありません。本学大学院では、希望者は、学部の講義や実習の補助をとおして、国際看護教員としてのノウハウを身に着けることができます。
 
 

3つの力

概要

フィールドワーカー養成

国際看護の基本は、その国・地域で、住民、患者さん、現地のヘルスワーカーと一緒に働き、住民のニーズに基づいたケア(People-centered Care)をその地域の人々と緒に実践することです。
日本で培った看護の知識・スキル・経験など、看護の専門性は活動に不可欠ですが、それらをそのまま外国に適用できるとは限りません。
一口に国際看護活動といっても、それぞれの国や地域によって抱える健康問題やそれを生じる社会的背景、看護職に期待される役割などは異なります。
海外で看護活動を行う者は、宗教や政治を超えて人々を理解し共感する心の豊かさ、問題を科学的に分析する力、文化や言語の違う人々と円滑な関係を構築するためのコミュニケーション能力、活動マネージメント能力、研究・活動資金を獲得する能力、活動を評価する能力、活動を広く知らしめるネットワーク、活動内容を論文としてまとめて学術的に貢献する能力などが求められます。
聖路加国際大学では、フィールドワークの計画、実践、評価、を実際に行うことで、国際的に看護活動に携わる専門家としての能力や態度を身に着けます。
 

 

研究者養成

国際看護活動を活動のみで終わらせず、そのプロセスや結果を研究としてまとめ上げることも重要です。科学的裏付けに基づいて活動計画をたてることで、より有益な結果が期待できますし、その結果を評価し、論文や学会で報告することで学術的に貢献することができます。院生一人一人の興味や経験を最大限に生かしたテーマを一緒に検討し、研究計画、実践、質的・量的研究法を駆使した分析、論文や学会での発表までを丁寧に指導します。
また、国際看護活動を安定して実践するためには、ファンドを獲得する必要がありますが、ファンド獲得のためのノウハウ、獲得後のマネジメントなども指導します。
 

 

国際看護教員養成

「将来、海外で就労したい」、「途上国でボランティアをしたいと」いう看護学生は年々増加しており、看護学生の学習ニーズは高まっています。そのようなニーズに応えて、国際看護が看護カリキュラムに取り入れられましたが、国際看護の歴史は新しく、教員が不足しています。国際看護教員には、大きく2つの重要な役割があります。①国際看護に関する講義と②海外実習の実施です。安全で教育効果の高い看護実習の実施を、実際に学部生の実習アシスタント経験を通して学ぶことができます
 

 

2023年

庄木さんおめでとう!!

聖路加国際大学大学院看護学研究科博士後期課程 庄木里奈さんが第28回聖路加看護学会学術大会において、「日本人看護師が外国人看護師と協働するうえで経験する困難と支援ニーズ」の研究で優秀演題賞を受賞しました。

2022年

   

2022年 国際協働論実習

 
大学院修士国際協働論演習で、ガボンに行きました。ガボンは中部アフリカの西側にある国です。初めて行きましたが、遠い!東京→イスタンブル→コンゴ→ガボンという行程でやっと着きました。ブランドもののバッグを持ち歩くお金持ちの人がいる一方で公立の医療機関が少なく、医療サービスが行き届いていません。交通網も未発達なため、陣痛がきても病院に行けずに自宅分娩に至ることがよくあるそうです。公的資料に上がってこない妊産婦死亡や乳児死亡もありそうです。多くの途上国の患者さんがそうであるように、ガボンでも病院に並ぶ人たちは我慢強く順番を待っていました。フランス語圏で、考え方も常識も全く違う人々の健康と幸せのために、なんとかしようと頑張るうちの院生さんたちは本当に凄いです。住民のお母さんや子どもたちの命を救い、日本とガボンの懸け橋になってくれると信じて、応援します。
 

2022年マニラ実習

 
2022年6月に、大学院の実習でマニラに行きました。
約3年ぶりのマニラは大きく変わっていました。外国人観光客の姿はなく、観光産業が大打撃を受けていました。長年実習させていただいたスラムのクリニックは閉鎖状態で、スタッフに休暇を取ってもらわざるをえない状況でした。実習場の現状を把握し、今後可能な実習の在り方を話し合いました。地域を回ると住民の方たちが覚えていてくださり、お互いの無事を喜びあいました。COPIDが蔓延している都市部での活動が困難なため、郊外の貧困地区のクリニックにも足を延ばしました。医師のスーパーバイズのもと、看護師・助産師、ボランティアが主導する緩和ケアを見学しました。この地域ではがん患者はあっという間に亡くなるため、患者さんのほとんどは脳卒中後の患者さんです。症状緩和とリハビリ(家族に指導)を組みあわせて行っています。脳卒中患者さんの日常のケアを支える看護活動が必要で、今後協力できたらよいと考えています。
 
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2021年度修士修了生

修士修了生の馬 さんが、研究において顕著な功績を認めた者に与えられる「学長賞」を受賞しました。馬さんは、中国で大きな問題となっているじん肺をテーマとして、地域型リハビリテーションに関する患者の経験を質的に解明しました。中国のじん肺については、治療に関する量的研究は行われていますが、患者さんを主体とした質的研究はなく、馬さんの研究は患者さん中心のケアを推進する上で重要です。おめでとうございます!

新型コロナウィルスの流行初期に、救急外来を支援するために、わざわざ単身引っ越してアルバイトで医療現場を支えてくれた松井さん。自分の健康や生活を後回しにして医療を支える現場の看護師の経験を記し残すことで、今後の感染症対策と現場の医療従事者への支援に貢献したいと研究に励みました。松井さんの論文は現場の医療従事者に勇気と希望を与えると思います。お疲れさまでした。